メーカー別乳房保形物断面構造顕微鏡写真[上の写真は各メーカー別乳房保形物切断面の顕微鏡写真です]参考:国際標準化協会の基準によれば、保形物表面のpeakとvalley間の差を測定して平均的なroughness(粗い程度)を測定し、10マイクロメーター以下をスムース、10~50マイクロメーター以上をマクロテクスチャに分類しています。 保形物表面の粗い面（マークでテクスチャ保形物の粗い表面）を作り出すための製造工法として「salt losing technique」というものがあります。保形物の枠(mandril)を製作した後、数回液状シリコンに枠(mandril)を浸して取り出し、これを回転させながら均一な厚さで乾燥させる作業を繰り返します。 このような方法により、複数の層の堅固なシェル(shell;保形物の皮)が作られます。 そして表面多層構造の最後の皮(layer)が固まる前に医療用塩をかけて乾燥させた後に塩を溶かす方式です。 最近、海外の多くの国の食品医薬品安全機関がBIA-ALCL(乳房保形物と関連した逆形成大細胞リンパ癌)関連性を理由に使用禁止措置を取っている保形物の製造技法が共通して”saltlosing technique”であると報告されています。 「Slat losing technique」で製作された保形物の表面構造を電子顕微鏡で拡大して調べると、使用された塩結晶の大きさが一律ではなく、塩結晶が溶けて抜けた後に作られた表面の陰刻形態の含入部の大きさも一律ではなく不規則で、時には含入部の枠が鋭く、シリコン残余粒子が表面に付着していて摩擦が加えられた時に簡単に剥がれる形に見えます。
マクロテクスチャ乳房保形物に関する指針および患者ガイドライン。 – ボン整形外科乳房整形再建センター2007年9月コヒシブジェル(いわゆるコゼル)乳房保形物の発売により、女性の乳房拡大手術に一大ブームが巻き起こりました。 1990年代に浮上した液状シリコンバッグの破裂と流出した液状シリコンジェルが誘発する様々な炎症反応と自己免疫疾患との関連性が話題になり、液状シリコンジェル乳房保形物は製造、販売、使用が禁止され、歴史の裏道に姿を消しました。その後10年間、韓国内では生理食塩水の保形物だけが乳房成形に使われていました。そうするうちに2007年9月、コーゼル保形物使用承認以後、胸整形手術の頻度は爆発的に増え、アラガン、メンター、シリメド、ポリテック、セビンなど海外の様々な乳房保形物メーカーによって多様なインプラント表面構造を見せる保形物が大量に供給されました。 スムース保形物とは異なり、テクスチャ保形物は保形物の表面構造がまるで生地のそれのように荒々しく作られます。 メーカーごとに粗い表面構造を作り出す製造工程が異なりますが、顕微鏡的構造分析による確認では粗い面の形と規則性、平均的な大きさなどが多様に見られています。
アラガンバイオセルマークでテクスチャ保形物[アラガンバイオセル(Allergan Biocel)乳房保形物のマクロテクスチャ表面構造顕微鏡写真] ALCLの発生メカニズムも、このような粗いテクスチャ保形物の表面が人体組織と付着して脱落した後、繰り返し物理的摩擦を起こし、この時、表面に付着した小さなシリコン屑(残がい、破片;debris)が人体内の免疫細胞による異物反応を起こし、遅延腸液腫(late seroma;胸の拡大手術後、数年が珍しく、非常に大きくなる。 ALCLについての話をする前に、保形物を成す3つの構造を調べる必要がありそうだ。 Gel（ゲル;保形物の内容を満たしている柔らかい構造）Shell（シェル;保形物の外皮として人体と互いに合う表面構造）Patch（保形物にコヒシブジェルを充填[注入して満たす行為;filling]後にこの部分を強化させる厚い皮の部分）からなりますが、この3つの構造は人体内で異物反応（親体内免疫細胞が保形物を異物と認識し、炎症反応を起こす現象）なく安定していなければ「人体組織親和性（biocomatible property）」と評価できます。特にシェルの表面、すなわち人体内に挿入した後、周辺組織と出会う接点で異物感を減らすための表面構造に対する研究が続いており、そのような研究の結果として新しい形態の表面構造であるMotiva SilkSurface(Motiva Ergonomixに適用)が開発され使用されています。 [参考] BIA-ALCLとは？乳がんとは関係ありません。 つまり、乳房プロテーゼを使う胸の整形を受けても、乳がんになる可能性は高くなりません。ところで最近、胸の保形物と血液がんの発生が関係しているという報告が出ましたね。Anaplastic Large Cell Lympoma (ALCL)、逆形成大細胞リンパ腫というものです。2018年1月に発表されたアメリカ整形外科医協会の報告書によると、まずBIA-ALCL(Breast Implant Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma)は乳房保形物を入れる女性に非常にまれに発生するリンパ腫です。 乳房組織自体から発生する癌ではなく、リンパ腫(T-celllymphoma)に分類されていますが、早期発見時にはほとんど完治が可能です。 しかし、診断が遅れてリンパ節や他の臓器への転移が発生する場合もあります。 マークでテクスチャー保形物を入れた女性でのみ発生すると見ており、代表的な症状は胸のむくみ（片方または両胸が急に腫れ上がる現象）です。このような胸のむくみは、胸の形や大きさを変え、非対称を誘発することもあります。また、脇付近の液やリンパ節が大きくなることがあり、触れるしこりが現れることもあります。 ALCLの頻度はアメリカ、カナダ、オランダ、オーストラリアの資料と統計によりますと、初期に6万人に1人だったが、発生事例が増え、現在は1000人に1人~3万人に1人の割合で発生すると見ています。 2019年4月にアップデートされた報告によると、(国際整形外科学会ISAPS、Mark W. Clemensなど)米国以外の地域で477人のBIA-ALCL患者が発生し、米国内で164人の患者が発生しました。 全世界で641人の患者が発生し、21人の患者が死亡しました(うち米国内の患者死亡は5例)。オーストラリアで4人の患者が最近死亡し、カナダ、イタリア、アルゼンチンでこれ以上この疾患を陽性疾患と見なし、悪性リンパ癌に準ずるものと見ています。アラガンバイオセル(Allergan Biocell)乳房保形物の使用禁止措置は、アメリカとヨーロッパ、イスラエル、ロシア、シンガポール、コロンビア、カナダ、南アフリカで取られ、他の国にも拡大しています。 現在まで報告されたBIA-ALCLは、アラガンバイオセル(Allergan Biocell)、ポリテクポリウレタン(Polytech polyurethane)のようなマクロテクスチャ(Macrotexture)の保形物にのみ現れています。 BIA-ALCLはスムース保形物やマイクロテクスチャ保形物、モチバシルクサーフィス保形物とは関連がないと報告されています。 まだ韓国内ではALCL患者が発生しておらず、遺伝的要因もBIA-ALCLと関連があると見て研究が進行中です。
